先日、夫婦で伊勢の神宮へ参拝してきました。
参拝の順序はまず外宮(げくう)、そして内宮(ないくう)
これが“本来の正式な巡拝順序”とされています。
外宮には、食物をはじめ暮らし全般を支えてくださる
豊受大御神(とようけのおおみかみ)
内宮には、日本神話における極めて重要な存在、
天照大御神(あまてらすおおみかみ)がお祀りされています。
神宮とは、この二社だけを指す言葉ではありません。
全125社の総称が「神宮」であり、その中心的役割を担うのが内宮と外宮です。
この存在の大きさを知ると、伊勢が“特別な場”とされてきた理由が静かに胸に落ちます。


■ 「神宮」と単独で名乗る唯一の存在である理由
全国には登録されている神社だけでも約8万社。
その中で「○○神宮」という名を持つ社はごくわずかですが、
伊勢だけは “神宮”と名乗ることで成立する唯一の存在 です。
この理由は、日本神話の核心にあります。
天照大御神は、父であるイザナキ(伊邪那岐)から
「高天原を統治しなさい」
と命じられ、その主宰となりました。
そして高天原とは、天上界だけでなく、
僕たちが生きる地上世界もその一部とされています。
つまり、天照大御神は“この世の秩序を司る存在”と位置づけられているわけです。
その天照大御神がお祀りされているのが内宮。
この深い神話的背景こそ、
伊勢の神宮が長い歴史の中で別格の存在として扱われてきた理由です。
「伊勢神宮」ではなく、ただの「神宮」
その名称の背後には、
日本人が古来から大切にしてきた精神と国家観が息づいています。


■ 神宮は「天皇陛下が祈る場所」
神宮は、天皇陛下が天照大御神をお祀りする場です。
天皇は古来、“祈りの存在”とされてきました。
では、天皇陛下は何を祈られているのか。
その答えは極めて純粋で、そして重いものです。
「国民一人ひとりが幸せでありますように」
神宮は、天皇陛下がこの祈りを捧げるための場所。
僕たち国民の幸せのために祈る、その厳粛な役割を担っています。

■ 僕たち民間人は神宮で何を祈るべきか
ここは、多くの方が誤解されやすいポイントです。
神宮は、本来、
個人の願望や商売繁盛を祈るための場所ではありません。
天皇陛下が国家と国民のために祈る場所であり、
僕たち民間人が“お願いごと”を持ち込むための神社ではないのです。
では、僕たちは何を祈ればいいのか。
● まずは「感謝」を捧げる
● もし祈るなら、天皇陛下のご健康と長寿
● そして、皇室と日本国の安寧と存続
この三つに尽きます。
僕自身の仕事や個人的な願望は、ここには持ち込みません。
伊勢の神宮は、僕利的なお願いから一段深い、
“日本という国そのものへの祈り”が捧げられる場所だと感じています。
■ 夫婦で訪れて気づいたこと
今回の参拝は、観光以上の意味を持ちました。
神宮の空気に包まれて歩いていると、
日々の悩みや雑事がスッと溶けていく感覚があります。
2500年もの歴史の中で受け継がれてきた祈りの場所。
その静けさと、圧倒的な時間の重み。
そこに身を置くことで、自分の心の姿勢が自然と整っていくのを感じました。
天皇陛下が祈り続ける「国民の幸せ」
その祈りの先に、僕たちの日々の暮らしがある。
そう考えると、また今日から丁寧に働き、丁寧に生きようと思えました。
伊勢の神宮は、ただの観光地でもパワースポットでもありません。
日本という国の“心”に触れられる場所です。
夫婦でこの時間を共有できたことに深く感謝しながら、
今回の旅を静かに胸に刻みました。





