アルフレスコダイニング
〜お庭で味わう、もうひとつのリビング〜
「アルフレスコダイニング」という言葉、あまり耳慣れないですよね。
Alfresco(アルフレスコ)はイタリア語で「屋外の」「そよ風の中で」という意味。
つまりアルフレスコダイニングとは、屋外で食事を楽しむ暮らし方のことです。
お庭を単なる“外の空間”ではなく、
リビングの延長として「食卓のステージ」にしてみませんか?
新築時や外構リフォーム時、
多くの方は「機能性(駐車場・目隠し・雨よけ・防犯など)」や「見た目」は考えますが、
「家族でどんな時間を過ごしたいか?」という暮らしの楽しみ方までは
なかなか想像しないものです。
「え? 庭で食事? わざわざ外で?」
そう思う方も多いでしょう。
でも、それは“体験していないから”なんです。
雑誌や映画のワンシーンで見たことがあっても、
「自分の家でできる」とは思わない。
それはまだ“感動を伴う記憶”がないだけのこと。
だからこそ、ぜひ体験していただきたい。
自分の庭へ旅をしませんか?
お庭にテーブルを出して、
パンとコーヒー、あるいは夕暮れのワイン。
たったそれだけで、日常がほんの少し“非日常”に変わります。
室内でしていたことを、ただ“外でやってみる”。
それだけで、心がふっとほどける瞬間が生まれるのです。
自分の庭へ旅をする──
それは遠くへ行く旅よりも、ずっと身近で深い癒しの旅です。
ガーデンテーブルにテーブルクロスを敷き、
朝の光を浴びながらパンとコーヒー。
ただそれだけ。
でも、その「ただそれだけ」が心を豊かにします。
ちなみに、これは我が家での光景。
お庭でのバーベキューも楽しいですが、
準備も後片付けも大変ですよね。
アルフレスコダイニングはもっと気軽で日常的。
いつもの朝食をお庭で。
昼下がりのカフェタイムをお庭で。
それだけで、家がもっと好きになります。
こちらは我が家での光景です。
妻が少しだけテーブルコーディネートを頑張ってくれた日。
友人を招いて、ガーデンリビングでホームパーティー。
特別なことは何もしていません。
折りたたみのテーブルを出し、料理を並べただけ。
外構空間が自然と雰囲気を演出してくれるのです。
アルフレスコダイニングに必要なものは?
難しいことは何もありません。
まずは植物。
これは欠かせません。
緑があるだけで、空間の質が変わります。
季節ごとに表情を変え、五感を癒してくれます。
「手入れが大変そう…」と敬遠される方も多いですが、
実はそれほどでもありません。
我が家も共働きですが、手抜きしながらも十分楽しめています。
次に目隠しフェンス。
「外で食事なんて、近所の目が気になる…」という方も安心です。
ナチュラルな木目フェンスでも、
メンテナンスフリー素材でもOK。
フェンスは単なる“遮る壁”ではなく、
背景として庭の景観を整える舞台装置でもあります。
隣家のエアコン室外機や雑多な景色を隠すだけで、
庭全体の印象が劇的に変わります。
フェンスと植栽の組み合わせで、
“自分だけのリゾート空間”を演出できるのです。
日よけと照明の工夫も忘れずに。
夏の日差し対策には、
テラス屋根や折りたたみ式パラソルがあれば十分。
気軽に取り入れられます。
そしてもうひとつ大事なのが照明です。
夜のアルフレスコは、まるで別世界。
上から柔らかく照らす電球色の光が、
お酒も会話も、そして音楽までも優しく包みます。

スマホでボリュームを絞ったジャズを流し、
夜風に吹かれながらビールやワインを一杯。
これぞ“大人の贅沢”です。
最後に必要なのは、テーブルと椅子。
常設でも折りたたみ式でも構いません。
日々の何気ない家族の暮らしを紡ぐ場所
──その舞台装置としてのアルフレスコダイニング。
特別な日ではなく、何でもない日こそ大切にしたい。
そんな家族の時間を、外の空気と光がそっと包んでくれます。
お金をかけず、手間もかけず、
それでいて驚くほど心が満たされる時間。
家の外にもうひとつのリビングを持つ。
それが、アルフレスコダイニングの醍醐味です。

家族の幸せをカタチにする造形師として、
僕がつくりたいのは、建造物ではなく“体験”です。
デザインとは、心地よい暮らしを紡ぐための舞台装置。
その舞台で、家族が笑い、語り、育っていく。
アルフレスコダイニングは、
そんな“日常という物語”を支える小さな舞台装置なのです。
