「日本人の9割が知らない遺伝の真実」
著者:安藤寿康
SB新書 キンドル版

というのを読みました。
慶應義塾大学文学部教授で教育学博士。
専門は行動遺伝学と教育心理学とのことです。

驚きの内容でとても興味深い本でした。

 

 

例えば、下記本書からの僕が気になった箇所だけ抜粋です。↓

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【家庭環境がどの程度子どもの才能に影響を与えるか?】

(86ページ)
親と子どもがいっしょにキャッチボールをする、サッカーをする、あるいはバイオリンを習わせるといったことで、子どもが持っているボトムラインの能力を引き上げる可能性はそうでない家庭より高まることはありえます。しかし、子どもがそれを本当に好きになり、それに時間をかけてやるようになるかどうかには、それほど影響していないようなのです。

 

 

【勉強するのはムダか?】

(88ページ)
スポーツでオリンピックに出場できる、世界的なコンクールでバイオリンを演奏する。そうした能力とは違い、学力は、教育さえ受けて、ちゃんと努力すれば平等に伸びていく……。これはいまでも親に、教師に、行政や企業の人々に、そして誰よりも学習者自身に、信仰のように信じられているように思われます。

(88ページ)
努力して、工夫して勉強さえすれば、誰でもいい大学に受かることができる。その能力だけは万人に平等に与えられているという信仰に、しがみついている人がいまでも少なくないのはなぜなのでしょう。残念ながら、行動遺伝学の研究結果は、その信仰を否定することになりました。

 

 

 

【収入と遺伝に関係はあるのか?】

(93ページ)
知能や性格を始めとしたさまざまな心的な能力は、遺伝の影響がおおむね 50%程度あることがわかっています。

(94ページ)
収入の 42%が遺伝、 8%が共有環境、 50%が非共有環境によって説明できることを示しました。

(95ページ)
親の七光りが通用するのも初めのころだけで、だんだん独り立ちして自分の実力が問われるようになるにつれて、

その人自身の遺伝の影響が強くなるというのは、非常にもっともらしいと思いませんか。

 

 

 

【家柄のいい男、才能ありそうな男、結婚するならどっち?】

(109ページ)
人間は年齢とともに経験を重ねていくわけですから、環境の影響が大きくなっていきそうなものですが、実際はなのです。

 

 

 

【教え方や先生によって学力は変わる?】

(117ページ)
教え方やクラスのちがいよりも遺伝の影響の方がずっと大きかったのです。学力については共有環境が 20%程度で、遺伝の影響は他の形質よりも低い 30%程度ですが、やはりこの実験では先生や学校の影響は出ていません。

 

 

【ほとんどの人が、科学的に不当な頑張りを強制されている】

(132ページ)
IQは 70%以上学力は 50 ~ 60%くらいの遺伝率があります。生まれた時点で配られた、子ども自身にはどうすることもできない手札によって、それだけの差が付いているわけです。残りは環境ということになるわけですが、学力の場合、さらに 20 ~ 30%程度、共有環境の影響が見られます。そして、共有環境というのは家族メンバーを似させるように働く環境のことですから、大部分は家庭、特に親の提供する物質的・人的資源によって構成されていると考えられます。親が与える家庭環境も子どもはどうすることはできません。  つまり、学力の 70 ~ 90%は、子ども自身にはどうしようもないところで決定されてしまっているのです。

 

 

【その人らしさが発現するタイミング】

(141ページ)
教育とは白紙に絵をかきこむことではなく、もともと内在する資質をあぶりださせ、適切な方向付けをすることなのだという主張です。

 

(143ページ)
才能の発見とは、まだ発現していないものを発現させることよりも、すでに発現しているものの中に文化的・社会的価値を見出していくことだと思うのです。

 

 

【社会をキッザニア化せよ〜社会の中を泳ぎ回って、自分の適性を探す】

(165ページ)
結局のところ、実際の社会の中でさまざまな出会いを繰り返し、自分で見つけるしかない。そのために、社会の中で自分の「好き」「得意」を活かして働いている人と、子どもを触れ合わせることが重要だと先の章では述べました。「社会的に成功」「自己実現」という言葉を聞くと、私たちはどうしても集団内のトップをイメージしてしまいがちです。野球だったらイチロー、ミュージシャンなら誰それ、ビジネスマンなら……。そういう一握りのトップこそが勝者であり、それ以外は敗者である、そういう思い込みが素質の発現を妨げます。

 

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以上、抜粋おわり。

 

僕はこの本を読み終えて、

「遺伝子(才能)でほとんど決まっているなら、努力してもムダじゃん」

と思って絶望したわけではなく、むしろ安心したと言いますか、気が楽になりました。

 

僕自身は自分の適正に合った(才能を活かした)仕事に出会えたので、良かったですし、と言いますか既におじさんですので、いいとしまして(笑)

中一の我が子の人生はこれからです。

もしくはこのブログを読んで頂いた方のお子様の子育てのお役に立てばと思います。

 

学力だったり、スポーツだったり、容姿だったり、

世の中いろんな競争にさらされて、時にはがっくりくることもあるかと思いますが、そんな事は気にせず

自分の遺伝子(才能)に合った「わたし力」を伸ばせばいい!という事です。

 

違ういいかたをすれば

「好きなことを見つければいい!」

という事だと思います。

 

親としましては、できる限り子供が興味を持つことを挑戦させてあげればいいと思います。

ある程度頑張って努力してみないと、何が自分に合っているかわかりませんからね。